以前は、日本でもトップクラスの汚い川として知られ、釣り人も散歩する人も見受けられなかった坂川。それが今や、近隣住民には欠かせない憩いの場所となっている。それにしても、朝日新聞の記事でアユまでいることを知って驚いた。記事を一部引用させてもらうと…。

1級河川の坂川は全長28・9キロ。柏市の台地から流れ出し、松戸市を通り、江戸川へ入る。かつては悪臭が漂うどぶ川だったのが、98年ごろから劇的に浄化された。北千葉導水路による利根川の水の流入と、古ケ崎の浄化施設の設置により川の水を松戸市内で循環させる仕組みをつくったことなどによる。

98年、環境基準値の生物化学的酸素要求量(BOD)が10以下になり、昨年度は、目標値の2前後にまでなった。商業写真家だった田中さんは95年、東京・日本橋から松戸市の矢切地区に事務所を移転した。子供のころから見てきた坂川だが、以前にもまして自然が回復してきた川の魅力に引かれた。

水辺の観察に本腰を入れ、県の許可を得て網をかけて魚類を調べた。網の様子をみるため、夏から秋にかけて毎日、水辺に行き、写真を撮った。冊子の写真は昨年と今年の撮影がほとんど。松戸市中心部の赤圦樋門(あか・いり・ひ・もん)から同市下矢切までの間が主な観察区域だ。昨年9月には、ブラックバスを捕ろうとかけた網にアユ3匹がかかった。体長1メートルのウナギをはじめセイゴ、モクズガニ、ナマズなどもいた。

水量が増えて水が循環するようになり、清流が好きなハグロトンボが産卵し、セスジイトトンボが大発生した。「20種ものトンボがすめる環境が整ったことは、坂川の誇り」と田中さんはいう。

冊子には、カエル、ヘビなどの両生類や爬虫(は・ちゅう)類、川辺や水中の植物40種類の写真も載る。1960年代前半の汚れた川の様子や浄化に向けた様々な工事の写真もある。
※(朝日新聞 2007年09月27日 一部略)

水質の向上と共に人々の視線も集めるようになった坂川。これからも街を流れる綺麗な川であり続けて欲しい。